いろいろある栗の種類
栗には早生・中生・晩生などの品種があるのをご存知ですか?
もともとは山になっている一般に山栗と言われる小粒の栗が祖先です。品種改良によって人間が大粒でおいしい栗を作り出してきました。
この種の性質を次の代に受け継ぐ為には実生(種から育ったもの)ではダメで、すべて接ぎ木によって作られた苗から大きくなった木なのです。実生では優れた性質を引継げないそうです。農家さんが、「絶対大きくならないんだ」と教えてくれました。
また縄文時代から栗の栽培が行われていたという資料もあり、遺跡の周りに栗林があった場所があるそうです。しかし栗の木はとても弱いので、自然界には栗の林は存在しません。栗は人間によって植樹され育てられてきた木ということです。
台風の被害を受けた栗農園
今回は茨城県の栗農園を訪ねました。
杉の林を抜けたところに、先代より続く小松さんの栗農園が広がっています。周りをぐるりと杉林に囲まれた栗農園。穏やかな気候に恵まれた茨城の地で、無農薬栽培で除草剤も使用することなく栗の木を育てています。
ところが今年の台風15号は、この穏やかな農園をも容赦なく襲いました。早生品種の栗、「玉造」「神峰」「丹沢」といった品種のなんと3分の1が、熟す前の緑のいがごと落下してしまいました。
早生品種の栗は、熟すといがごと落ちる傾向があるそうです。これに対して晩成品種は、熟すと木にいががついたままぱっと開き、栗のみが落ちることが多いそう。晩成品種の方が、木といがの密着度が高い為、あの台風の強い風でも落ちることなく残っていたそうです。早生の栗は熟す前に落ちてしまいました。
栗のおいしい時期とは
さて、栗のおいしい季節はいつ頃でしょう?
そう聞かれて秋から冬を思い浮かべる方が多いと思います。しかし実際の収穫時期は8月下旬~10月初旬。ならばおいしく食べたい時期まで保存する必要があります。ところが、栗は保存する際に気を付けなくてはいけないことがあります。
栗には虫がいることが多いといわれています。ですからスーパー等店頭で売られている栗は、臭化メチル剤という薬品で燻蒸処理がされていました。ただこの薬品は2015年に全廃され、現在は使われていません。
現在推奨されている虫止めの方法は、50℃のお湯に30分間漬けるというものです。あとは一晩水に漬ける方法。その他には、80℃のお湯に1~2分間漬ける方法。これでほぼ大丈夫といわれています。
これらのやり方なら、薬も使っていないので安心です。殺虫したら、よく乾かしてから冷蔵庫で氷温貯蔵するのがおすすめ。冷蔵庫のチルド室で0度近くで保存してください。
栗を甘くする方法
なぜ氷温で貯蔵するかというと、栗が甘くなるからなんです。栗のデンプン質はそのままだと甘くありません。ですから収穫したての栗は甘くないことも多いのです。甘くするためには、栗にあるアミラーゼという酵素を活性化させて、デンプンを糖に変えることが重要となります。
それでは甘い栗に変えてみましょう。方法は二つ。
ひとつは、栗に今が冬だと錯覚させる方法。これが氷温貯蔵です。栗は春に芽を出す種子です。なので芽を出すために、冬と錯覚した酵素が活性化してデンプンを糖に変えてくれるのです。
もうひとつは、40℃~70℃という温度にする方法。この温度帯でアミラーゼが活性化するらしいのです。つまり、調理する時にこの温度帯をキープすることが重要となってきます。
たとえば、茹で栗にする場合、じっくり10分くらいかけて沸騰させます。沸騰したら弱火で約1時間ゆでます。そして粗熱がとれるまで放置するといった具合。こうした調理法により、甘さがぐんと引き出されるのです。ただ、甘くするにも限界があり、氷温貯蔵も約1か月くらいが甘くするピークで、それ以上は甘くならないようです。
今年は台風の影響で収穫量が少なかったため販売できませんが、来年からは、中生・晩生の2品種「ぽろたん」「筑波」の販売を予定しております。どうぞお楽しみに。
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