時間を止める冷凍技術
産地の味は産地で食べるのがベストであることは疑う余地はありません。しかし、その美味しさを自宅で手軽に味わいたい。人間の欲は留まるところを知りません。
でも現在、かなり近い味を自宅で食べられるようになってきました。冷凍技術の進歩です。冷凍は時が止まったようなもの。温めると止まった時間が動き出します。ただ、時間を止めるには技術が必要です。
そこで技術者はいろいろ考えています。凍らせる時間を短くしたり、水を揺らしてみたり。その結果、現在では獲れたてのような食材が食卓に届くようになってきました。
かき氷屋さんの天然氷
かき氷屋さんで話題になっている天然氷。冷凍の歴史は、この天然氷の利用にはじまったといわれています。古代の人は、氷を天からの授かりものとして大切に扱っていたようです。天然氷を貯蔵する氷室には保冷の機械なんてないですよね。外気は高いのに氷のままで貯蔵できるのは、その氷の質に関係があるようです。天然氷はゆっくりと凍る為、氷の結晶が大きい。すると硬い氷になるので冷凍庫で作った氷よりも温度が高く、薄く削れます。こうやって、ふわっとした美味しいかき氷ができるのです。この溶けにくい天然氷を使い、肉や魚の鮮度を保ったまま運んだのが、食品を冷やして貯蔵することのはじまりとなったようです。
冷凍で味が落ちてしまう理由
氷そのものを食品として利用したり、他のものを冷やすために使うのでしたら、天然氷のように時間をかけてゆっくり凍らせる方がよいのですが、食品自体を冷凍する場合は、できるだけ早く凍らせないといけません。
なぜなら、ゆっくりとした冷凍方法だと、できあがる氷の結晶が大きなものになってしまいます。この大きくなった氷の結晶が、食品の細胞を内側から突き破って穴を開けてしまうのです。この細胞の穴が味の劣化の原因になります。冷凍した食品を解凍すると、この穴から旨味がドリップとして流れ出し、水分が失われて食感が悪くなります。ポイントは、食品内の水分が氷に変わる温度帯をいかに早く、細胞壁を壊さないようにくぐり抜けるかです。
それには、現在こんな冷凍方法があるようです。細胞に微小な振動を与えることで凍結時に生じる氷結晶の成長を防ぎ、過冷却状態となった水分を一気に凍らせる方法。冷たい液体の中に製品を入れて急速に冷凍するのです。液体の熱伝導率の高さを利用して凍結のスピードが格段に早くなります。
伊東の魚市場で見た最新の冷凍技術
今回、伊東で見てきた冷凍技術は、特殊なアルコール凍結機にて瞬間凍結する方法です。この凍結機は通常の冷凍方法の20倍の速さで凍結する為、細胞を壊しません。解凍してもドリップが出ず、食品の生の食感と旨味を保つことができるのです。
ただ、冷凍技術だけでは、時間を止められないこともありました。それには食品の素材や鮮度が関係してきます。例えば、魚だったら水揚げすぐであること。また、生きているものはその締め方が大切です。
今回訪れた魚市場は漁港の目の前。最良の条件が揃っていました。海から上がった魚は海水を引き入れた水槽で一旦落ち着かせ、旨味を蓄積させます。そして長年の経験による独自の方法で締めて、瞬間凍結をかけるからこそ、本当のおいしさが再び動き出せるのです。
急速冷凍 国産伊勢海老&生しらす
天然の伊勢海老と鮮度が命の生しらすを最新の冷凍技術で瞬間冷凍しています。生の味と食感をご自宅でも味わうことができます。
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急速冷凍 地物金目鯛
地物とは、伊豆近海で漁をして、その日のうちに帰港している金目鯛のことをいいます。鮮度がよく脂のりも申し分ありません。
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