養豚場

愛知県にほど近い静岡県浜松市にこちらの養豚場はあります。1968年に社長の鈴木さんが、母豚3頭から養豚場を始めました。現在では、母豚180頭で年間3500頭を生産する規模にまで拡大しています。社長のモットーは「いつも食べる豚肉は、おいしくて”あたりまえ”。からだの栄養になる豚肉は、安心・安全が”あたりまえ”。本当においしい豚肉は、餌からこだわって”あたりまえ”」です。

豚の一生は、とても短い。生まれてから約半年で、体重100kg近くにまで成長し出荷されてゆきます。今回は、成長過程を順を追って見せていただくべく、養豚場内に入らせていただきました。外部からの感染を防ぐ為、許可無き者は入れません。白衣を着て長靴を履き、いざ豚舎へ。

母豚舎

最初は母豚舎。生産の源である母豚は、年に2〜3回の出産を繰り返すことができます。この整然と並んだ母豚たちは、子豚が離乳してから、早いものでは4~5日で、次の子豚を宿す準備ができます。だから母豚の出産に関わるケアはとても重要になります。妊娠中のケア、出産時のケア、産後のケア。環境も大切、室温も大切、栄養管理も大切。すべて人の世話によって成り立ちます。現在でもとても清潔な母豚舎でしたが、より良い環境作りとケア充実の為に、コンクリート作りの最新の母豚舎の建設が行われていました。

保育の部屋子豚子豚

こちらは保育の部屋。部屋は暖かい温度に保たれています。豚の乳首は14個位あって、上の方ほどたくさん乳が出るそうです。子豚は15頭ほど生まれますが、その時点でも大小があります。先に生まれたものや、強いものが、出の良い乳を占領してゆく。良い所を占領できる子豚はますます大きくなる。自然界では、そのようにして淘汰が行われ、弱者は死んでゆく運命にあります。しかし養豚場では、皆ができるだけ同じ大きさに育つよう人間の手を加えてゆきます。小さなものにはミルクを与え、強いものは早く育ち過ぎないように。

離乳舎

続いて離乳舎です。3週間位で親豚を離れ、子豚達だけの小屋に移されていました。つまり、一定の期間で親豚から離してしまうわけです。ここでも人の手によって、自然に離乳を待つわけではなく、離乳食を与えて強制的に親離れをさせるのです。今までは暖房完備のぬくぬくの部屋でしたが、ここからは外気温と一緒です。丈夫に育っていただきましょう。決まった時間の餌と水。ここからの育ての親は完全に人になります。

飼育舎
飼育舎

最後に飼育舎。生後10週位になると、同じ大きさの若豚毎にかなり広めの場所で飼われます。餌を食べること食べること。何せ半年で100kgになるんですから。

これだけ短期間に多くの餌を食べる豚だからこそ、その餌にこだわることが、とても大切なのだと社長は話します。餌には、抗酸化剤・防カビ剤・防腐剤を一切使用していません。トウモロコシ、米、大豆カスが中心ですが、ここにビタミンを加え、他に余計なものは加えない。そして豚にストレスがかからないよう、豚舎はとても清潔に保たれています。日に日に大きく育つ豚は、生後約半年で出荷の日を迎えます。

社長

社長の餌へのこだわりは、さらに極められ、自ら餌の原料まで作り始めてしまいました。畑1.5ha、田んぼ8haをできるだけ農薬を使わずに、米などは特別栽培で育てています。

こだわりの餌と日々の愛情を注がれて育った豚は、誰が食べてもおいしい豚肉に仕上がります。現在飼育している豚は「浜名湖そだち」という銘柄豚。何種類かの豚の良いところをとった三元交雑種です。2000年には食肉産業展・銘柄ポーク好感度コンテストの味覚部門で第1位に輝きました。

豚肉の美味しさの肝は保水力です。冷蔵庫で保管している間に水がたくさん出て、焼いたら硬い舌触りというお肉は、保水力がありません。食べた時に口の中に広がる肉汁のおいしさが重要なのです。そして同じくらい重要なのが香り。お肉の香りは、その豚が食べた餌にかなり影響されるそうです。

「浜名湖そだち」の塩ハンバーグ

味付けは、塩こしょうのみ。お肉自体がとてもおいしいので、高級店のハンバーグのような上品な味わいです。

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「浜名湖そだち」のしゃぶしゃぶ

お肉の部位の違いも楽しんでいただけるように、ロースとモモをセットしています。静岡の地元野菜も付けてあります。

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