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木工旋盤

そんな平成生まれでありながら誰よりも昭和臭が漂う兼之助にも、最終日にロマンスが訪れる。それは、私が公演の合間に席を外していた時のことである。

散策から戻ると、兼之助がシューマイなんぞつついて日本酒をチビチビやっていた。「なんだ、ずいぶん良いもん食ってんじゃねぇか」と言うと、事の次第を説明してくれた。

私が出かけた後、おすぎも一人で散策に出たという。兼之助が舞台そばに腰掛けてお猪口を傾けていると、一足先におすぎが帰ってきた。

おすぎは片手に提げた箱を少し上げ、「兼之助さん、よかったらカニシューマイ、一緒にいかがですか?」と柔らかく微笑んだ。その瞬間、祭りの喧騒が遠く聞こえた。

兼之助は、「え?い、いいんですかい?」と頬を朱に染めつつ、いい雰囲気でカニシューマイをつつきあった、、、。かどうかは知らないが、カニシューマイを差し入れてくれたのは事実であるらしい。

「おめぇさん、連絡先の交換なんかしちゃったかい?」と冷やかすと、「えぇ?それはどうでしょうねぇ?」と含みのあるニヤつきを返す。

などと、才女と野獣の展開を匂わせたいところではあるが、おすぎの名誉のためにことわっておくと、連絡先の交換などしていない。カニシューマイは急遽出演してくれたことへのねぎらいの気持ちにほかならない。

その二時間ほど前には、兼之助が最終公演でほぼ上半身裸になって踊ると言い出して聞かず、おすぎの顔を一瞬しかめさせた(ように見えた)のだが、 それでも差し入れをするホスピタリティはさすがである。

カニシューマイとおすぎ

一方の兼之助は、「おいら、今夜おすぎさんを打ち上げに誘うよ」 と言い出した。私は、「飲み二ケーションの時代は終わったんだ。やめとけ」 とクギを刺す。おすぎの返答はわかならいが、裸踊りの件もあったので無理を通さないか気をつけておく必要がある。

おすぎはそんな我らの攻防を知ってか知らずか、実演コントの最終公演を迎えたのち、「帰りの新幹線の時間が、、、」という事情で、江戸酒場の閉幕を待たずして帰ってしまった。

誘いを受けるという予感が働いたのかは知らないが、付け入る隙も与えず風のように去って以来、おすぎが再び兼之助の前に姿を現すことはなかった。

私と兼之助は若干の喪失感を抱きつつ、二人で荷物をまとめて会場をあとにし、二人で銭湯に行き、二人でちいせぇ家に帰ってさっさと寝た。

とまぁ兼之助の暴れぶりばかりを取り上げたが、公演自体は二人の力で大成功だったといえよう。兼之助がいなければお祭りのような熱気や笑いが生まれる事はなく、おすぎのマネジメント能力がなければ修正や改善を繰り返す事もなかった。

しばらく一仕事終えた満足感に浸りながら生活をしていたのだが、ある日、大きな過ちに気が付いてしまった。

太秦江戸酒場のコンセプトは、 ”江戸”ではなく、江戸時代の”京” だったのである。つまり江戸の職人になりきって、現在の東京下町の言葉である ”べらんめえ口調” を使うことは誤りではないかと思い至った。

私と兼之助は太秦映画村の方々にも、「へい!あっしら、江戸っ子になりきってきやしたのでよろしくお願いしやす!」などと誤った役作りを自ら吹聴していたのに、どうして誰も間違いを指摘してくれなかったのか。

しかし、江戸酒場とはそんな間違いも楽しんでもらえるくらいに懐の深いお祭りだった。

太秦江戸酒場編 完

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イラスト:SORRY.

和菓子好きイラストレーター。デザイン会社での経験を経て、現在はフリーランスとして活動中。ショップやラジオ番組のロゴデザイン、雑誌の挿絵などを制作。

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写真:其田有輝也

カエデヤマザクラケヤキフォールナット

erakko おとも椀

erakkoは、京都・山科に工房を構える柴田漆工房の二代目が旅の道具を作りたいと立ち上げたブランドです。木地作りから漆塗り仕上げまで、全ての工程を自社で行っています。

旅やキャンプなど、アウトドアで過ごす大切な時間に天然素材のうつわでおともしたい。そんな気持ちから生まれたのがerakkoのおとも椀です。天然素材である木と漆を味わうだけでなく、アウトドアで使うための工夫を施した本格派の作りになっています。

カエデ、ケヤキ、ヤマザクラ、ウォールナットなど、おとも椀の木地には様々な樹種を使用しており、それぞれがもつ個性を引き出すことにもこだわっています。木肌の色や木目を活かすため、拭き漆に使用する漆は樹種ごとに使い分けています。

おとも椀には、高台(こうだい)といわれる底の立ち上がりがありません。野外での使用を考え、重心を低くして転びにくくするためです。これ以上ないシンプルさと、ふんわりしたやさしい丸みで、いつまでも両手で包み込んでいたくなるお椀です。

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旅やキャンプなど、アウトドアで過ごす大切な時間に天然素材のうつわでおともしたい。そんな気持ちから生まれた木と漆のお椀です。樹種はカエデ、ケヤキ、ヤマザクラ、ウォールナットの4種類からお選びいただけます。

生産地:京都府
サイズ:Φ110×H55
仕上:拭き漆
付属品:風呂敷(むす美 / 日本製)

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