桜

日本人に馴染みの深い桜

春になったら桜の花を愛でる。その時期にしか出会えないものを日本人は好みます。桜は、春に咲く花の代表格。一斉に咲いて一斉に散る、はかなさに美しさを感じる桜ですが、さくらんぼが実ることをご存知でしたか? 桜の花と同様、さくらんぼもこの時期にしか食べられない果実。花も実も、瞬間を楽しむ植物です。

桜には、花を観賞するために作られた品種と、立派な果樹が実る品種の主に2つがあります。観賞用の品種は、概して実は大きくならないものが多く、一番有名なものには、江戸時代に『オオシマザクラ』と『エドヒガンザクラ』の交配でできた『ソメイヨシノ』があります。自ら受粉する(自家受粉)ことが出来ないために実をつけにくく、つけた実でも1cm程度のマッチ棒のような大きさ。渋みが強く、食用には向きません。

一方、食用の大きな実をつける桜には、寒い地方で育つ『セイヨウミザクラ』があります。花びらは白くて地味ですが、観賞用の桜とは異なり、直径2cm以上の甘い実をつけます。

大きな実をつける桜の木も、前述したソメイヨシノと同様に、ほとんどの品種が自家受粉を行いません。食用の場合は、別に受粉用の木を育てて、蜂に受粉を手伝ってもらいます。

農園佐藤錦黒いさくらんぼ

不動の一番人気は『佐藤錦』

最初に訪れたのは、一番人気の『佐藤錦』を作っている農園。佐藤錦発祥の地である山形県の東根市に2か所の農場を持ち、自然に逆らわない農法を実践しています。受粉のほとんどを蜂に任せているため意図的に受粉を促すようなことはしないのですが、周辺の農家では不作と呼ばれる年でも、毎年、安定した収穫量を誇ります。その理由を園主に訊ねると、木の剪定の仕方や、冬場の樹木への手厚いケアが大切だということでした。

さくらんぼ園を散策させていただくと、途中で黒いさくらんぼを発見。大きな実をつけているので「これも食用ですか?」と聞いてみたところ、食用ではありませんでした。何種類かの桜の木を、受粉用として育てているとのこと。

昔は市場にも出回っていた『ナポレオン』という品種は、佐藤錦との相性が良いようで、最近では受粉用の木として使われることが多くなりました。そして佐藤錦のような、よりおいしい品種が、みなさんの食卓へと並ぶようになりました。

甘さと酸っぱさのバランスの良さや、皮のやわらかさが、佐藤錦の特徴です。しかし皮がやわらかいということはデリケートでもある、ということ。慎重に扱わなければ、輸送の際に傷つく恐れがあります。収穫したばかりのものを出荷したとしても、実同士がぶつかることで小さな傷ができてしまい、口内炎のような白いかびが発生してしまいます。甘さの証明でもある皮のやわらかさですが、こういったリスクも潜んでいます。

産地直送 樹上完熟 佐藤錦

さくらんぼ王国の山形県より、選りすぐりの完熟佐藤錦をお届けします。

<予約受付中!6月20日頃から出荷予定>

樹上完熟さくらんぼ 佐藤錦 500g
PRICE:2,780円
STOREで購入

樹上完熟さくらんぼ 佐藤錦 1kg
PRICE:4,680円
STOREで購入

紅秀峰
垣根仕立て

人気上昇中の『紅秀峰』

最近人気を集めている『紅秀峰(べにしゅうほう)』という品種は、佐藤錦より2週間ほど遅い、6月下旬から7月中旬に収穫されます。甘さが強く、佐藤錦よりも、さらに一回り大きく、皮が少し固いといった特徴があります。皮が若干丈夫な分、佐藤錦よりも輸送の際の衝撃に耐えることができます。

紅秀峰を作っているこちらの農園は、400mの陸上競技場1個分もある大きさ。さくらんぼのほかに、ぶどうと梨も育てており、山の斜面を農園として利用しています。

この農園では、「垣根仕立て」という栽培方法を確立しています。通常は重なる枝を平行に伸ばすことで、太陽の光がまんべんなく降り注ぐため、味にばらつきのない真っ赤なサクランボが出来上がります。手間や経費のかかる栽培方法ですが、美味しいさくらんぼを作るためには労力を惜しみません。

産地直送 大玉さくらんぼ 紅秀峰

さくらんぼ王国の山形県より、最近注目の大玉品種、紅秀峰をお届けします。

<予約受付中!7月初旬から出荷予定>

大玉さくらんぼ 紅秀峰 1kg
PRICE:5,980円
STOREで購入

黄色いさくらんぼ
外国の市場

黄色いさくらんぼ

食用のさくらんぼの中には、色が黄色いものも存在します。しかし通常の赤いさくらんぼと比べて、栽培が難しいといわれています。周辺の葉と少しでもこすれると実が茶色くなり、見た目が悪くなってしまうため商品価値は下がります。輸送中、実どうしがぶつかりあう際にも茶色く変色してしまうため、それを理解している方にしか送ることができません。黄色いさくらんぼの一種である『月山錦』は、実が大きく、酸味もほとんど感じないため、非常に甘い品種として有名です。

ところで、外国の市場を覗くと、日本とは異なり果物の品種を意識して選ぶという感覚はあまりないように感じます。ウィーンの市場でも、さくらんぼは1種類のみ。ダーク色で、皮が固いものです。表示にも「Kirsche(さくらんぼ)」としか書かれていませんでした。まあ、こんな風に大胆に山積みできるさくらんぼというのは、日本の品種ではあまりありません。一般的に輸入されるさくらんぼは総称して『アメリカンチェリー』と呼ばれます。

さくらんぼは、カリウムの含有量が比較的多く、高血圧や動脈硬化の予防として期待できます。また、葉酸が比較的多いため貧血予防にも効果的。サクランボに多く含まれる「ソルビトール」は虫歯予防にも使わる天然甘味料で、便秘にも良いそうです。

旬の時期に旬のものを食べることが何よりも、そのうまさを実感できます。きっと、心や身体もリフレッシュできますよ。

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