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喫茶ニット

喫茶ニット(錦糸町)

アツアツのホットケーキにスーッと溶けていく小さなバター。ナイフを入れるその瞬間、サクッと心地よい音が聞こえます。ニットのホットケーキは、厚さ約3cmのものが2枚。普段自宅で作っているペラペラのホットケーキ”もどき”とは訳が違います。今まで食べていたアレは何だったんだろう…?と、一瞬考えてしまいました。

早速、一口大に切り分けていただきます。表面はこんがりと焼き上げられていて、ナイフを入れようとすると、結構硬い?!中はフカフカと目の細かいスポンジ状。

たまらず頬張ると、表面のサクサクとした食感が楽しく、素朴な甘さにバターのしょっぱさがいいアクセントに。厚さがあるためボリューム満点。ほっぺたがリスのように膨らみます。添えられているシロップをかけると、甘党にはたまらない!

喫茶ニット

東京都墨田区江東橋4丁目26-12 [MAP]

年中無休
営業時間 8:00~20:00

TEL 03-3631-3884

ホットケーキマリーとホットケーキホットケーキの銅板

店内を見渡すと、やはりホットケーキが大人気。1枚に20分ほどかけてじっくりと丁寧に焼き上げるため、満席時の待ち時間は1時間になることも。厨房にはホットケーキ専用の銅板にまるい型が6つ。ニットのホットケーキは2枚で1皿なので、これだと1回に3皿分しか焼けません。人気商品なのに、どうしてだろう?

熟練のキッチンスタッフにお話を聞いたところ、他のオーダーや作業とうまくやりくりする必要があるので、一度にあまりたくさん焼けないそうです。こだわりのつまった贅沢なホットケーキ。一口食べれば、もう待ち時間のことなど忘れてしまいます。

職人

1965年創業のニット。店内はブラウンを基調とした落ち着いた雰囲気。いわゆる『昔ながらの喫茶店』という言葉がしっくりくるお店です。全席ソファーなので、ひとりで来てもゆったりくつろげるのがポイント。ソファーが低めに作られていたり、大きなひし形の鏡が壁に取り付けられていたりと、更に広く見せる工夫が施されています。

実はニットが現在の内装になったのは、約40年前のこと。「創業時は大きなシャンデリアが3つもある煌びやかなお店だったんです。」と、小澤オーナーがニットの歴史を語ってくれました。外から店内が見えず、女性客や子供連れが気軽に入れない、チョッピリ怪しげな雰囲気だったそう。今のアットホームな雰囲気がとても心地よいため、怪しげなニットの姿の想像が付きませんでした。

もともとはメリヤス工場だったニット。初代オーナーだったお父様が喫茶店に改装し、メニュー数が少ない純喫茶スタイルで営業していたんだそうです。ニットの制服に使われているベストは、メリヤス工場だった頃の名残なんですって。

お父様が亡くなられたあと「もっと親しみやすく、庶民的な喫茶店にしよう」と現在の姿に改装されました。たしかに周りは女性客やご高齢の方も多く、老若男女世代を問わず親しまれている様子でした。ホットケーキの他に、フルーツパフェもよく注文されるらしく、これもきっと女性客が来店しやすくなったからかな〜と、オーナーは言います。

ペンダントライト壁の鏡

ニットの歴史は内装からも感じられます。「そういえば、このライトが1番長く使っているわね」とオーナーがポツリ。シェル(貝殻)のランプシェードのペンダントライトです。このシェルのライトは現在の内装になってから3代目。1・2代目は布製のカバーが付いたものだったそうで、お手入れが難しかったためあまり長持ちしなかったんだとか。マリーの実家にも似たようなシェルのライトがあったので、懐かしいな〜とつい見入ってしまいました。ニットにはライトひとつにも、長〜い歴史が詰まっているんですね。

ニットからの帰り道、最寄りの錦糸町駅へ歩いていると空に高くそびえ立つスカイツリーの姿が目に入りました。そうだった!ここ錦糸町だった!ここが都心から離れた静かな商店街だと錯覚してしまったのはマリーだけでしょうか?

錦糸町というと、繁華街のギラギラしたイメージが強い印象でしたが、ニットにいるとそれを忘れてしまいますね。優しい味に、時間に、人柄に触れて。「錦糸町って怖くないの?なんてよく聞かれたけど、全然そんなことないんだけどなぁ〜」と楽しそうに笑うオーナーのおかげかもしれませんね。

COMMENTS

“マリーと行く Hello!TOKYO 喫茶の旅” への1件のコメント

  1. 録画していた家ついて行っていいですか?を今頃見ました。
    大好きです!応援してます!スナックとかバーを開いてほしいです!
    批難、誹謗中傷は免れないかもしれませんが、とことん突き詰めてください!
    おかげで幸せな気分になりました、有難うございます。
    追伸、上白石萌音さんにチョー似てますね!

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