栗は果物
栗の実は果物っぽくないのですが、樹木になるため生物学上の分類からすると果実になるそうです。ただ、食する部分は種子で、果肉は外側の鬼皮と薄皮がそれにあたるそうです。
今回は、茨城県の笠間神社近くの農園に伺い、収穫から選別、お湯による消毒殺虫を見せていただきました。この地域は、献上栗の笠間栗で有名な地域です。
こちらの農園は無農薬栽培で除草剤も使っていません。栗は一般的にも早生栗以外、中生から晩生栗の7~9割には虫がいるといわれています。正確には、卵が産み付けられている可能性が高いということですが、何故早生の栗が大丈夫なのかというと、イガ部分の皮が虫の産卵期よりも早く硬い皮に変わっているからだそうです。
栗の品種と通称名は違う
栗農園に着くと、まずは栗拾い。樹上でぱかっとイガが口を開いて、見事な実が顔を出しているものもありますが、樹上では取りづらいので、地面に落として長靴でイガを踏みつけ、中の栗を火ばさみで拾ってゆきます。
今回の栗の品種は筑波。巷で有名な栗というと、丹波栗、恵那栗など、各地でいろんな特産栗がありますが、これらは栗の品種名ではなく地域ごとのブランド名です。ですから、丹波栗といっても、どの品種を指すかは決まっていません。茨城でもこの地域では、笠間の貯蔵栗といって氷温貯蔵をし、より甘みを増した栗でブランド化をしています。今の時期(10月上旬)の品種としては筑波が多いといわれました。
収穫後は、平らな台の上に布を敷いて目で穴を探して、選別してゆきます。大きさでふるい分けた後、目視で穴が開いていないか、変色しているものはないか、妙に軽いものはないか選別してゆきます。一つ一つ丁寧に見てゆきます。長年続けていると、手で持ち上げた瞬間に違和感があるそうです。
ただし、穴があいていなくても虫が中にいる場合があります。実になる前から中にいて、実を食べて育ち、最後に中から穴を開けて出てくるものがいるからです。あと、お伝えてしておきたいのは、この栗の中にいる虫は無害です。万が一、誤って食べたとしても、問題はありません。
栗の収穫後、温湯で殺虫
今回は、80℃のお湯に1~2分漬けるという方法を実践します。薬剤を使わない方法なので安全です。まず温度計で測りながら、80℃になるまでお湯を沸かし、栗を投入します。沸騰しないように温度を保ちながら、1~2分茹で、その後鍋から取り出し、新聞紙などの上に素早く広げて、良く乾かします。一晩くらいは乾かした方が良さそうです。
栗はナッツ類だけどデンプンが多い
他のナッツは脂質が多いのに対して、栗はデンプンが多いという特徴があります。これが意味することは、収穫したての栗は甘くないことも多いということ。甘くするには、栗にあるアミラーゼという酵素を活性化して、デンプンを糖に変えてもらうことが重要となります。
栗を強制的に甘くするには、冷蔵庫で氷温貯蔵するのがおすすめです。冷蔵庫のチルド室で、0℃近くで保存するのです。目安は1ヶ月間。それ以上続けても、より甘くなることはないようです。一定の湿度を保ち、じっと我慢の1ヶ月。その後は蒸すなり、茹でるなりしてお召し上がりください。この我慢はきっと報われます。
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