私は、このアジュラクプール創設の指揮を取った偉人のご子息であり、この地域の文化大使でもある、スフィヤンさん(写真右)の工房で働いています。
基本的に男だけ、ムスリムだけの工房ですが、単独で乗り込み、現地の職人さんと共に、従来にはないブロックプリントならではの表現を模索しています。
私は、このアジュラクプール創設の指揮を取った偉人のご子息であり、この地域の文化大使でもある、スフィヤンさん(写真右)の工房で働いています。
基本的に男だけ、ムスリムだけの工房ですが、単独で乗り込み、現地の職人さんと共に、従来にはないブロックプリントならではの表現を模索しています。
世襲制で一生涯をブロックプリント、もしくは染めに従事してきた方も多く、村のそこら辺を歩いているおっちゃんが、凄まじい技術を持っています。娯楽も少なく、週7日働くこともあり、彼らが染める布のクオリティーたるや、到底手作業とは思えないほどに美しく、初めて見た時から心底惚れこんでいます。
しかし、惚れ込んでいるからこそ、この工房にいるために彼らとは違うことをしています。外国人だからこそ出来るブロックプリントがあるはず。
従来は失敗とみなされていた手作業ならではのズレ、かすれ、染めムラなどを、あえてデザインに取り込み、職人さんから賛否両論ある染めを続けています。最初はゴミなどと言われていた表現も、次第にプロダクトに組み込まれ、今ではインド内外で販売されるようになりました。
私は、このブロックプリントという歴史の長い伝統工芸が、未だ可能性に満ちた技法であることに疑いがありません。きっかけがあれば、表現の幅が広がっていくのだろうと感じています。
技術面では、きっと彼らに追いつくことは出来ませんが、そんな卓越した個々の職人が、何か違和感を覚えるような、そしてその中の少数でも、その違和感を布に落とし込んでみたくなるような、そんな作品をこの工房で染め続けたいと思います。
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遠い場所の生活や人、歴史を知れることがすごく素敵で嬉しいと感じる文章でした。これを読んでいる短い間にも素敵な時間を頂いた気がします。