梅干し

しっかり酸っぱい梅干し

じっと見ていると条件反射でじわっと口の中が湿ってくるのは、中年以降の方でしょうか。近頃の梅干しはみんな甘いし、調味料のような味付けがされていて、ものすごく食べやすい。ですからこの写真を見ても、酸っぱそうに思わないかもしれません。

しかしこちらの梅干し、今では少なくなった、しっかり酸っぱい梅干しです。体を動かすためのエネルギーを生成するクエン酸回路の中心的役割を持つクエン酸が豊富に含まれています。かつ塩分は控えめ。それが農園主岡田さんのこだわりです。

岡田さん

梅干しの産地といえば和歌山県。では第2位は?というと、ほとんどの方が答えられない。知る人ぞ知る群馬県なのです。さらに細かく市単位で見ると、高崎市は全国で3位となります。軽井沢方面に向かう途中にある昔の地名で榛名町あたりは梅園が広がる地域です。

今回は、この榛名の地で梅園を営む岡田農園さんを訪ねました。岡田さんの農園は、祖父の代より受け継がれている園地。父親から園を引き継ぎ、一人で土を作り、剪定をして肥料をやり、収穫。梅干しその他加工品の製造、そして催事での販売まで一人でこなすスーパーウーマンです。

梅園梅園

梅園の仕事は重労働

見えますかね、梅の枝がたくさん落ちています。岡田さんが一人で切り落とした枝。これらを集めて、一か所で燃やすのだそうです。太い枝はチェーンソーでぶった切る。梅の木は樹勢が強いので毎年ぐんぐん枝を伸ばす。でも伸びすぎた枝にはいい実はならず養分だけ奪っていくのです。

だから花が咲く前に切る。父親から正式にやり方を教わったわけではないけれど、見て覚え、仲間に教えてもらったり助けてもらったりで覚えていった。切るのはまだいいけれど、この枝を集めて処分するのが大変。太い枝は一つ数キロはありますから、持ち上げるだけでも腰にきますし、腕力も必要です。

奥に見えるブルーの塊はネットです。梅の収穫はこのブルーネットを農園全体に敷き詰め、自ら落下した完熟梅を収穫するのです。収穫時期になると、毎朝農園を歩き回り、落ちた直後の梅を拾い集めて梅干しを作るのです。女性の岡田さんにとっては、かなりの重労働。「いつ辞めてもいいんだけどね」「お客さんがこの梅干しおいしいねって言ってくれるから辞められないのよ」と話しておられました。

次のページに続く)

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