美味しく食べて、健やかに元気にすごしてほしいという、作り手の祈りや願い。食べることは生きることだけではなくそれ以上の意味を持っている気がしています。
郷土料理はただの「食」ではなく、そこに暮らす人の生活、土地、気候、文化など、様々な背景を知ることができるもの。ここでは、各地に根付いた郷土料理についてご紹介していきます。
今回は新潟県の郷土料理「いもみそ」です。
新潟県五泉市に伝わる郷土料理
「いもみそ」は新潟県五泉市に伝わる郷土料理。茹でた里芋をだし汁と味噌、少量の砂糖で煮て作り、里芋のねばりけと味噌がよく絡む素朴な味わいが特徴です。
阿賀野川と早出川の流れる五泉市は、豊かな水と水捌けのいい肥えた土壌に恵まれ、昔から農家が自家野菜として里芋を栽培してきました。現在は新潟県産ブランド野菜として「帛乙女(きぬおとめ)」という里芋の栽培に力を入れ、新潟県内1位の生産量を誇る産地となっています。
里芋自体は貯蔵性があり通年出回りますが、収穫時期にあたる9月から11月にかけては各家庭の食卓によくいもみそが並んだそうです。現在は市内の学校給食のメニューとしても登場し、若い世代にも親しみを持って受け継がれています。
いもみその作り方
酒やみりんなどを使用して味付けするレシピもありますが、今回は伝統的なシンプルなレシピでいもみそを作っていきます。
まずは里芋を洗い、竹串がすっと刺さる程度の硬さになるまで茹でます。
茹で上がったら少し冷ましてから皮を剥いていきましょう。包丁を使わなくても、するりと手で皮を剥くことができます。いもみそは里芋のぬめりが重要なので、皮を剥いた後は洗いすぎないようにしてください。
皮を剥いた里芋を一口大に切ったら、顆粒だしを水で溶いて作っただし汁に、味噌、砂糖と共に煮ていきます。里芋を煮ている間は、柚子をよく洗い、皮を細く切っておきましょう。
煮汁が少し残るくらいまで煮詰めていくと、だんだん里芋のねばりけが汁に出てきます。そうしたら火を止め、やや深めの器に盛り付けて柚子の皮を乗せたら、いもみその完成です。
出来上がったいもみそは、里芋のねばりけとだしの効いた味噌味が絡み、あたたかくほっとする美味しさ。そのまま食べても美味しく、ご飯にも合い、お酒のアテにもなります。
秋も深まり、これからどんどん寒くなる季節にぴったりのいもみそ。ぜひご自宅でも試してみてください。
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