また讃岐伝統の技法で朱漆を塗る「後藤塗」や、マコモ(水辺に群生する植物)を生漆で打ち込む「象谷塗」など、香川漆器ならではの塗り方もある。「後藤塗」と「象谷塗」はどちらも、しっくりと落ち着いた質感で、使うほどに味わいが増していく、普段使いにはもってこいの漆器だ。
ちなみに、漆器の取り扱い方法については、そこまで神経質になる必要はないと思う。使用後は普通の食器用洗剤を使い、ぬるま湯で手洗いし、直射日光の当たらない湿度の低い場所で保管する。漆は使えば使うほど発色がよくなり、日常的に使うことで漆の湿度が保たれるので長持ちする。もし漆が剥がれてしまったら修理だってできる。
中田漆木の商品を購入
高松市で三代にわたって漆器作りをしている老舗の工房。色漆で可愛らしい絵柄が描かれたお箸や、香川の伝統技法で塗られた器、地場素材を取り入れた製品など、様々な漆器を手がけています。
STOREで購入
香川は漆器の他にも、庵治石や讃岐竹などの産地としても有名だ。中田漆木では、そんな地場の素材を取り入れた商品作りにも積極的に取り組んでいる。庵治石に漆を塗ることは、以前から行われていたが、中田漆木はプロダクトデザイナーとコラボレーションすることで、現代人のライフスタイルにフィットする製品を生み出すことに成功している。
全国各地で伝統工芸の職人は減少しているが、香川では特に木地師(ろくろで木材から器を削り出す職人)が少なくなっているそうだ。それもバブルの時代に職人を育てることをせずに、搾取してしまったせいだという。また原材料の価格高騰も大きな問題だ。国産漆はもちろん、中国産の漆も減ってきており価格が上がり続けている。
これからは地元で職人を育て、地元産の漆を使って、商品が作れるようにしたいと大輔さんは話す。現在、NPO法人が中心になって香川県内で漆の木を植樹しているが、実際に漆が採れるようになるのはまだまだ先。香川が、これから先も産地として残っていけるように、時間はかかるが、取り組みはすでにはじまっている。
庵治漆 -AJIURUSHI
香川県の伝統的工芸品である漆器と庵治石を融合した庵治漆は、木製の漆器とは異なり石で出来ているため、温度、湿気、乾燥などによる影響がなく、湯煎して温めたり、冷蔵庫で冷やして使える珍しい漆器です。
STOREで購入
1 2
COMMENTS