古梅園の墨紹介
このように手間暇かけて作られ、製品となった古梅園の墨をいくつか紹介したいと思います。
「墨と言えば紅花墨」という言葉があるほどに、古梅園をしょって立つ1丁が紅花墨です。六代目・松井元泰が官許を得て長崎へ行き清国の造墨家と交流する中で製墨法をより高め、七代目・元彙が作り上げたもののひとつとされています。
このように手間暇かけて作られ、製品となった古梅園の墨をいくつか紹介したいと思います。
「墨と言えば紅花墨」という言葉があるほどに、古梅園をしょって立つ1丁が紅花墨です。六代目・松井元泰が官許を得て長崎へ行き清国の造墨家と交流する中で製墨法をより高め、七代目・元彙が作り上げたもののひとつとされています。
そのほか古梅園は数少ないながら、松煙墨にも取り組んでいます。今では市場に少なくなっているという松煙墨の姿が古梅園の売店に並びます。そのほか古梅園本店限定商品として硯型をした墨などもあり、こちらも高い人気を誇っています。
聞くところによると、墨の質の高さに注目した眼鏡ブランド(QULО)が古梅園の墨を眼鏡の一部に使用したりと新たな展開も見せているようです。良質な墨だからこそ広がる可能性があるのでしょう。
書を嗜んでいないから墨に触れる機会なんてないと、難しく考える必要はありません。気軽に線を引くだけ、絵を描くだけ、そのために固形墨を使ったって良いのです。手で作られているからこその、1丁の墨に秘められた黒色の多彩さ。1丁ごとに違う黒色と、かすみ具合など。墨の魅力がこれからも、その書き味と共にじわりと広がることを願います。
奈良県奈良市椿井町7番地
営業時間:平日9:00~17:00
11月~4月中旬まで「にぎり墨体験(有料)」も行っている。
福岡県出身。奈良県在住。奈良で暮らし始めて10年近く経ち、改めてこの地だからこその人の営みや暮らし、手仕事を伝えたいと思うようになる。普段は奈良県の妖怪譚を蒐集調査。著書に『奈良妖怪新聞(大和政経通信社)』などがある。漫画『妖怪めし(マグカン)』の監修も行っている。
注1 『日本古典文学大系 日本書紀 下』1965/岩波書店
注2 黒川道祐『雍州府志 下』1916/京都叢書刊行會
注3 島本一編『奈良曝』1939/大和国史會
【参考】