美味しく食べて、健やかに元気にすごしてほしいという、作り手の祈りや願い。食べることは生きることだけではなくそれ以上の意味を持っている気がしています。
郷土料理はただの「食」ではなく、そこに暮らす人の生活、土地、気候、文化など、様々な背景を知ることができるもの。ここでは、各地に根付いた郷土料理についてご紹介していきます。
今回は東京都の郷土料理「深川飯」です。
東京深川地区の郷土料理「深川飯」
昔、現在の東京都江東区周辺は「深川地区」と呼ばれていました。埋め立て前の江戸深川一帯は海で、アサリが沢山とれる場所であったとされています。
「深川飯」はそんな深川地区の漁師が食べていた漁師飯であり、家庭の味でもありました。
現在も江戸深川の味として、門前仲町や清澄白河エリアでは深川飯を提供する飲食店が多くみられます。
深川飯には2通りあり、アサリのむき身をさっと煮て炊いた米にかける「ぶっかけめし」タイプと、アサリと米を一緒に炊き込む「炊き込みごはん」タイプのものがあります。
もともとは漁師たちが仕事の合間にさっと食べることができるぶっかけめしタイプが深川飯のルーツであるとされていますが、現在は炊き込みごはんタイプの深川飯が主流となっています。
深川飯の作り方
今回は炊き込みタイプの深川飯を土鍋で作ってみることにしました。
1/2カップ
まず最初に、米をといでから水にひたし30分ほど浸水させます。その間に材料を切り、調味料も合わせておきましょう。
砂抜きしたあさりもフライパンで酒蒸しし、貝殻から身を取り出しておきます。
30分経ったら水を切った米を土鍋に入れ、あさり、油揚げ、にんじん、生姜、調味料と炊飯用の水を投入します。
沸騰するまで土鍋は蓋をせず強火で加熱し、沸騰したら火を弱めて蓋をし、弱火で10分。
10分経ったら火を止め、蓋を開けずに予熱で10分ほど蒸らして完成です。(なお、おこげが食べたい場合は最後にもう一度強火で30秒ほど加熱するのがおすすめです)
出来立ての深川飯はアサリのだしが効いていて、想像以上に優しい味。ずっと昔から親しみのある料理みたいで、なんだかほっと安心する美味しさでした。
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