雪景色

青森の果物といえばりんご

今回向かったのは、本州最北端に位置する青森県。青森県を代表する果物といえば、ご年配の方から小さなお子様にまで愛される、甘くて美味しい「りんご」。青森県は、冬になると全域が豪雪地帯となり、辺り一面が雪で真っ白に覆いつくされてしまいます。そのため、りんごの収穫時期は、冬本番が始まる11月までになります。となると、一年中甘くて美味しいりんごが青森から出荷されるのは、どうしてでしょう? りんごの美味しさを保つ秘密は、貯蔵庫にあるということで、見学してきました。

まず伺ったのは、青森県板柳町にある成田農園さん。板柳町とは、津軽平野のほぼ中心に位置し、西方に名峰の岩木山、東方に八甲田山系、さらには南方に世界自然遺産の白神山地を望むことで、実りの秋には昼夜の寒暖差があり、りんご栽培に適した気候に恵まれています。また、この地を南北に流れる岩木川は、白神山地に源を発し、りんごの産地である津軽平野に潤いを与えています。

早速、気になっていた貯蔵庫へ案内してもらいました。中は薄暗く、ひんやりとしていて、天井が高いため、まるで洞窟の中にいるような気分です。実の引き締まった糖度の高いりんごを維持するには温度が重要で、常に貯蔵庫内の気温は、ほぼ零度に設定されています。そして庫内には、想像以上に高く積まれた木箱が、いくつも連なっていました。1つの木箱の中には、20㎏のりんごが入っており、それが何千箱と管理されているのです。木箱に入れる理由には調湿の意味があり、乾燥しそうなものにはビニールがけもします。このように外気を遮断して庫内の空気を調整することで、りんごの呼吸を最小限に抑制し、新鮮さを長期間保つことができるのです。

何千箱とあるりんごたちを、1つ1つすべて目で確認しながら出荷しています。できるだけ新鮮な状態の美味しいりんごを届けたいという思いで造られたこの貯蔵庫は、大変な手間とコストがかかります。自分たちの手で作ったりんごを、出荷する最後の日まで大切にしたいという成田ご夫婦の愛情が込められているのです。

倉庫
りんご木箱

特許取得している葉とらずりんご

そして、成田農園では化学肥料を一切使わず、自然の生命が育む力を大事にしながら、安全で安心な土づくりを徹底しています。土台がしっかりしているので、木が丈夫に育ち、力を持った木が付ける実は、よりいっそう美味しくなります。さらに、着色の為刈り取ってしまう葉っぱを最後まで残し、養分を実に行き渡らせながらも、きれいに着色させる技術(特許取得している農法)を持っています。光合成を止めることなく養分を補給し続けられるので、味のよいりんごを作ることができます。

実際、そのりんごは、口へほおばる前から、甘くて優しい香りが立っているのを感じとることができます。一口かじってみると、シャキシャキシャキという音が心地よい歯触りと共に口の中に響きわたり、つぎからつぎへと溢れ出てくる果汁に、食べる手が止まらなくなってしまうのです。

冬は剪定の季節

そして今は、剪定の季節。数百本の木を一枝一枝、花芽を見極めて枝を切っていきます。よい枝だけを残さないとよい花は咲かないし、よい実も付かないため、地味な作業ではありますが、すごく重要な仕事なのです。はるかに続く農園(ここの場所だけでも2ha以上)の木々を見ているだけで、目が回ってしまいそうなのに、これらすべてを1つ1つ手作業で、しかも1人でやっているのです。一切の妥協を許さない、健康な果樹園づくりを目指している成田さんご夫婦のりんごに対する情熱を聞いていて、それまで寒さで冷え切っていた体が、熱くなるのを感じました。

成田さんの生搾りりんごジュース

成田さんの農園で育てられたりんごを生搾りしてジュースにしました。水や添加物は一切使用していないピュアなりんごジュースです。サンふじ、サン王林、サンスターキング紅玉など数種類のりんごを巧みにブレンドした自然の香りと甘さは絶品。一度飲んだらやめられません。

720ml×3本/2,100円

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りんごの木剪定

五所川原のエコファーマー

次に向かったのは、五所川原市にあるエコファーマーの須藤農園さんです。五所川原市といっても市中からは南の鐘撞堂山に近く、平野部より雪が深く、寒暖の差も大きい場所にあります。こちらもお忙しい剪定の真っ最中、農園を案内していただきました。農園の広さは全体で2.3haあり、こちらも一面真っ白な雪の中、静かに寒さに耐え忍んでいる木々たちが遠くまで広がっています。

須藤農園では、2つの栽培方法を行っており、剪定をしていた大きな木が植わっている他に、低く小さめの木が整然と並んでいる列があります。この低く小さめの木々は「わい化栽培」といって、わい性台木を使うことで、木の高さ、横の広がりを抑え、本数を多くして単位面積あたりの収穫量を増やす農法です。その他のメリットとして、植えてから3年くらいで実を付け始めるので、新しい品種にも取り組みやすいのです。チャレンジ精神豊富な若手の須藤さんは、この畑に合った、よい品種選定の為に、いろいろな試行錯誤を繰り返し「より美味しいりんご」を日々作り続けておられました。

わい化栽培

りんごの蜜は甘くない?

りんごは蜜が入っているほうが甘いとよく言われますが、では蜜の部分だけを食べると甘味をより強く感じられるのでしょうか。いいえ、実はりんごの蜜自体は甘くないんです。蜜の正体は、ソルビトールという糖アルコールの一種です。それ自体には強い甘みはありません。しょ糖や果糖の5割から6割程度の甘さしかないんです。蜜のできる工程を見てみましょう。

まず、りんごは実を大きくするために、葉に当たった太陽の光の力を借りて光合成し、デンプンを作り出します。りんごの木はデンプンをソルビトールという水に溶けやすい性質の糖アルコールに変えて、枝を経由して果実に送り届けます。ソルビトールは果実の中で、りんご本来の甘味である、しょ糖や果糖に変換されます。しかしりんごが完熟すると、ソルビトールは糖分に変換するのをやめてしまい、そのままの状態で水分を吸収します。これが「蜜」です。これ以上糖に変換しなくてもよい、という状態まで完熟しているサインなので、蜜入りのりんごは完熟りんごであるのは間違いありません。

しかし、必ず蜜が入らないとおいしくないのかというと、そうではないのです。また品種によって、蜜の入らないものも存在します。さらに、蜜の入る品種でも、必ず蜜が入っているとは限りません。面白いことに、同じ農園の同じ木で、同じ時期に収穫していても違いがあります。蜜だけが、甘さのサインではないということ。なお、蜜は収穫後、しばらく保存しておくと果肉に吸収されて、目に見えなくなってしまいます。蜜が消えてしまった場合でも、甘さ自体は変わりません。また、たくさん入り過ぎていると変色しやすく、保存が効きにくいという面もあります。実際に、蜜も度を越した量が入ると、水くさく感じることもありますから、何事もほどほどが肝心ということですね。

りんごの蜜を知ったところで、品種をいくつかご紹介します。

りんごの品種

シナノゴールド

黄色い品種で、酸味と甘さを兼ね備えた、バランスのとれた味が特徴です。赤くないとりんごは美味しくないというのは昔の話で、最近では黄色い品種が人気上昇中です。この黄色い品種、実は赤く綺麗に着色させる手間を省くために出来た、農家さんにとっては助かる品種。親はゴールデンデリシャスなので、ご年配の方やりんご愛好家の方々には、ちょっと懐かしい味を感じてもらえるかも。

金星

黄色というより、白もしくはクリーム色に見える品種。袋に入れたまま育てます。その果肉には、独特の洋酒を思わせるような芳醇な香りがあり、爽やかな歯ざわりが特徴的。酸味は少なく、すっと消える甘みは、少し不思議な感覚。上品な味わいのりんごです。

ふじ

今や、りんごといえば、ふじというくらい、りんごの生産量全体のほぼ半分を占める品種。蜜が入りやすいのも特徴ですが、果汁が豊富で甘みも強く、シャキシャキの食感も心地よいので、一番人気もうなづけます。収穫量も多く保存性の高いふじは、生産者からしても欠かせない存在となっています。色付きをよくする為、袋に入れたまま育て、最後に袋をはずして着色させる『ふじ』。袋をかぶせず太陽の光をあびさせて育てる『サンふじ』。綺麗に着色させるため普段は、実の周りの葉を取ってしまうのですが、あえて取らずに最後まで葉をつけたまま育てる『葉とらずサンふじ』と、同じ品種でも育て方の違いから、違う品名として、世に出ている品種でもあります。どのようにして作られたのかを知ることで、りんごを選ぶ基準や食べる楽しさも変わり、さらに美味しく感じられるのではないでしょうか。

五所川原りんごミックス

雪が深く寒暖差も大きい五所川原市にあるエコファーマーで作られた3種類のりんごをミックスしてお届けします。甘みを十分蓄えた赤い実の『サンふじ』。洋酒のような独特の香りを持つ上品であっさりとした甘さのクリーム色をした『金星』。酸味と甘さのバランスがとてもよい黄色い品種の『シナノゴールド』。楽しい食べ比べセットです。

3kg/3,200円

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