ピオーネ

色付きが悪くなったピオーネ

昨今表面化している地球温暖化の影響なのでしょうか(氷河期の前兆という方もいてどちらが真実かはわかりませんが)、毎年天候の不順が続いています。その一つに気温の異常な上昇があります。今年も各地で観測史上最高気温更新などの声も聞かれます。

ぶどうの名産地ここ勝沼でも色々変化が出ています。例えば、このピオーネという品種、最近色付きがとても悪くなってしまいました。色付き・味の濃さを出すには、寒暖の差が必要です。しかし最近、このあたりの盆地では夜になってもそれほど気温が下がらない。すると色が付いてこないのです。

色が付かないピオーネ枝を切られたピオーネの畑

農家さんは生活の糧にならないものはいりません。枝の途中からのこぎりで切ってしまいました。そこで新たな品種を育てはじめました。それがこちらのブラックビートです。

ブラックビートブラックビート

大粒黒ぶどうのブラックビート

藤稔とピオーネの交配種で、2品種のお互いの弱点(色付き、裂果)を補い合うようにしてできた品種です。同じ時期なのにもうちゃんと着色しています。肉質も適度に締まり、果汁が豊富で深いコクもある。爽やかな酸味と上品な風味が最大の特長です。皮ごと食べることもできる飽きのこない味は、大粒黒ぶどうの後継者と期待されています。

ただ問題は、この品種は着色が非常に良いために、未成熟なコンディションでも早期から市場出荷されてしまうことがあるのです。ですから、農家さんの見極めが大切な品種です。こちらの農園では、ちゃんと熟したブラックビートを皆さまのもとにお届けしています。

袋掛けされたシャインマスカット

農園による袋掛けの違い

ぶどうの熟度を見分ける時に重要になるのが、栽培時の袋掛けです。

この袋掛けは、みんな同じように掛けていると思っていましたが、その方法は農園によって変わります。作業効率を考えたり、ぶどうの品種によっても変わります。日焼け防止で二重に掛けているところもあります。

この青い袋の中身はシャインマスカット。青色のぶどうは皮が日焼けしないように収穫までずっと袋掛けしています。

駒田さんの袋掛け

駒田さんの袋掛けは、下から見るとぶどうの房が見えます。このやり方は、ぶどうの色付き、熟度が目で見て触ってわかる栽培方法です。近くの畑ではすっかり全体が袋に入っています。それが必要な品種もあるのですが、必要の無い巨峰なども全部袋掛けしている農園もあります。この袋掛けでは、一つ一つ開けて見ないと着色、熟度がはっきりわかりません。ではなぜ袋に入れているのでしょう。

一番の利点は、殺菌剤を撒く時に楽であるということ。ぶどうは栽培中に何回か殺菌をします。房全部に袋が掛かっていると、下の方向から噴射してかけられるのです。それに対して上だけ傘を掛けて房が見えている栽培方法だと、直接房にかからないように、葉の上からかけなければいけません。これは作業が大変です。

袋掛けされたぶどう

けれど収穫時は、着色しているか、熟しているかが分かりやすい栽培方法です。反対に袋が全部掛かっている方は、今度は収穫時が大変。一つ一つ袋を開けて中を確かめて収穫していきます。ところが、農園の中には、一定の時期になると、全部の中は見ず一気に収穫していく農園もあります。これは全部商品にならなくてもいい、ある一定の量、熟したものが収穫できればいいという考え方です。ロス分があっても全体的な作業面、収入面で効率がいいのでやっているらしいです。

大量生産か日本的な栽培方法かの違いとでもいいましょうか。実際の農園に行くと本当に栽培方法や考え方が袋掛けひとつとっても農家さんによって違います。さらには、剪定方法や、棚の作り方、高さ、枝の継ぎ方など、違いはいろいろあります。農家さんそれぞれが、長年の経験の上で自分の栽培方法が一番と信じ、栽培しておられます。

でも結局は、最初に戻ってしまうのですが、美味しい実ができるかどうかは、天候に大きく左右されてしまいます。だから、良い年、悪い年は必ずあります。ワインでも「今年のボジョレーは良い出来だ」とか言いますよね。さらに年々、地域・国全体の平均的な気候までも変わってきています。ですからそれに合わせて品種を変えたり、作物自体を変えたりしていて、毎年出来が違うのです。これを踏まえた上で産直の果物を楽しんでほしいなと思います。

ぶどうを産地直送で取り寄せる

種なし巨峰、シャインマスカット、スチューベン、ピオーネなど各種ぶどうを農園から産地直送でお届けいたします。農家さんが最適な食べ頃のタイミングを見極めて出荷します。

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