近年日本の手仕事が改めて注目され、日本各地の手仕事を追い求め足繁く通う人を多く見かけます。
筆者もその温かみに魅了されている一人です。伝統とは何でしょうか。私の場合、伝統とは日本の暮らしの知恵を後世に伝え守ることだと思うのです。日本の本当の暮らしの背景を物語る手仕事についてもっと知りたいですよね。
今回は民藝としてもポピュラーな「竹かご」について取り上げたいと思います。一口に竹かごと言っても、色・形・用途は様々で、日用品・美術品としての両方の顔を持っており、日本人にとって身近で奥が深い逸品です。
竹かごの魅力
世界には約1200種類もの竹があり、暖かく湿潤な地域に生息しています。日本ではそのうちの600種類も生息し、分布地は本州・四国・九州です。意外なことに北海道では生息していないそうです。つまり、昔からその土地に合った材料で生活用品が生まれてきたということです。縄文時代に作られた「藍胎漆器」が発掘され、農具や漁具・日用品として利用されてきたことも分かっています。
竹かごの魅力といえば、機能的でシンプルな美しさを兼ね備えていること。軽く、通気性が良いため台所道具から収納まで様々な場面で活用できます。また使い込むほどに、飴色から茶色へと変化していく美しさも魅力の一つでしょう。
竹かご豆知識
白もの・白竹(真竹)
切り出した竹を油抜き加工したものです。天日干しをすることで白っぽくなります。主に工芸品に用いられます。白竹で作られたカゴは収納カゴやバッグとして使いたいですね。
油抜き…苛性ソーダで茹で天日干しする(晒し竹)。火で炙る方法もある。
青もの・青竹(根曲がり竹・篠竹・鈴竹・など)
生のまま使用します。本来の美しい青々とした色を生かし、昔ながらの日用品の材料として用いられています。お台所には青ものがピッタリです。篠竹・鈴竹は笹の一種で比較的入手がしやすく女性でも扱いやすい素材です。
黒もの
漆や炭で竹を染めたものです。美術要素が強い工芸品に用いられます。
煤竹(すすだけ)
藁葺き屋根の屋根裏から取れる竹です。長年囲炉裏の煙で燻されており、耐久性に優れています。入手が難しく貴重な素材です。
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