伝統を守る仕組み
全国的に竹かご職人は高齢化し、作り手は減少しています。この先伝統を守ることは難しいと言われています。竹かごファンの方はご存知かと思いますが、ここ竹原は大分や長野などの一大生産地と比べると今はまだ認知度の低い隠れた生産地です。
しかしここで活動されている方たちはそれぞれが竹細工を趣味の延長として楽しみながら製作を続け、毎年10人程の新しい職人を迎えるように取り組んでいます。
その一つのきっかけになるのが、工房での竹細工体験。作業風景を見学すると共に、工房では実際に竹細工を作ることができます。地元の小学生たちにも竹細工を体験し、伝統工芸に触れる機会を積極的に作っているのだそうです。
今回は筆者も竹かご編みに挑戦。作ったのは、四海波という花かごです。まずは、底部分の四つ目編みから始めます。初心者用にマスに合わせて行いますが、竹の節の位置を調節するためにひごをずらす作業も一苦労。
竹は跳ね返りが強く、両手を使い押さえながら形成していきます。次はどの編み目に入れるのか覚えるまでがなかなか大変です。
少しコツが掴めたところでようやく完成。簡単に見えるかもしれませんが、私自身実際に作らせて頂くまでこの難しさは理解できませんでした。
竹かごを使う
竹かごに限らず、天然素材は何だか使うのが難しそうと思っている方は多いはず。
― 有田さん、竹かごの取り扱いは難しいと感じる方が多いと思います。どのように手入れをしたら良いのですか。私たちにも使いこなせるでしょうか。
有田)いやいや。そんなに難しくないよ。ただ湿気には弱いから、使用したら手ぬぐいで拭いて陰干しで乾燥させないとダメかな。竹かごはそうやって手入れして大事に使ったら何十年も持つから。
― 竹細工を現代の生活において、どのように使って欲しいですか。
有田)好みはもちろんあるからね。でも若い世代の中には竹かごを自由な発想を持って使ってくれる子もいてね。若い男の子だけどさ、うちの作品の中で昔農業用に使われていた背負いかごをランドリーかごとして使っている子がいる。1週間くらいかごに洗濯物を貯めてそれをコインランドリーに背負って持っていくらしいよ。だから、こんな使い方でないといけないというわけではなくて好きなように使ってくれたら良いわけ。
伝統的なものでも、現代の生活に合わせて常に進化していかなければなりません。竹かごの場合和風なものではあるけれど、私たちの発想次第で無限に使い道が見つかるはずです。機会があれば、皆さんにも竹原の小さな工房を訪ねてもらいたいのです。きっと新たな魅力を見つけられるはずです。
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