グラミンカ外観

2018年2月、兵庫県神河町に一風変わった宿泊施設がオープンした。コンセプトは「グランピング」と「古民家」で、その名も「GLAMINKA(グラミンカ)」。近年、日本では空き家の増加が社会問題になっており、ここ神河町も例外ではない。グラミンカは、そんな空き家に新たな魅力を吹き込み、地方創生に取り組んでいる。

グランピングとは、自分でキャンプ用品を持ち込まずに、自然環境の中で快適に豪華な空間を楽しめる新しいキャンプスタイルだ。グラミンカでは、神河町の豊かな自然環境の中にいながら、非日常のグラマラスなデザイン空間を堪能できる。

この宿泊施設の多くの部分が、DIYで手作りされている点も興味深い。古民家の持つ温かみと、DIYによるデザイン空間が見事にマッチしたグラミンカが、どのようにしてできたのか、共同オーナーの大野さんと大西さんにお話を訊いた。

GLAMINKA(グラミンカ)

古民家にグラマラスなデザインを融合させた一棟貸しの古民家宿。峰山高原リゾートホワイトピークの麓に位置し、豊かな自然環境の中でグランピングを満喫できる。最大10名まで宿泊可能。

兵庫県神崎郡神河町南小田958

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グラミンカ内観グラミンカ内観大野さんと大西さん

お二人はもともと教員をされていたそうですが、どんな先生だったんですか?

大野)勤務地は、札幌と神戸。13年間勤務。1年生から6年生、特別支援学級の担任や学年主任を経験させてもらいました。常に意識してきたことは、「子供と常に同じ空気を吸うこと」。休み時間は、一緒に遊んで運動場の空気を一緒に吸う。授業時間は、ピリッとした空気を。掃除の時間は、砂ぼこりも一緒に。といった具合です。

大西)今、子どもたちに必要なことは何か。それを一番に考えて指導してきました。初めて採用されて赴任した学校はお世辞にも落ち着いた学校とはいえませんでした。しかし、その時出会った上司に、生徒たちは必ずブーメランのように返ってくる。だから今はうまくいかなくても子どもたちを信じて3年間指導しなさい、そして自分と生徒の人生があるなら生徒の人生を取る教師になりなさいと教えられました。その時、毎日のように叱っていた生徒が学校の教員として教壇に立っています。熱く、あったかく、粘り強く、365日すべてを子どもに捧げたと言っても過言ではない10年間でした。

教員を辞めて、グラミンカをはじめた経緯を教えてください。

大野)座右の銘が「やるときめたら満足するまでとことんやる」なのですが、興味が赴くままに楽しい時間を過ごしていると、自分がワクワクするキーワードがはっきり見えてきました。デザイン・スノーボード・工作・コミュニケーション・建築・コーヒー・旅行・植物・アウトドア… そのキーワードを円上に並べると、中心に「グランピング×一棟貸切古民家宿」が、自然と浮かび上がってきました。「人生は自分探し」と、よく耳にしますが、まさにそんな感じです。

大西)世の中がグローバル化していく中で生徒たちの夢も世界を見据えたものに10年間で変わっていきました。そんな時、私自身このまま日本で教員を続けていて、教え子たちに夢と希望を与えられる教師であり続けられるだろうかという疑問をいだきました。そこで教員を退職し、アメリカとカナダに1年間留学しました。とにかく文化の違いに驚く毎日とあらためて日本のすばらしさにも気付くことが出来ました。いつか世界と日本を繋ぐ架け橋になるような人物になりたい。そう思い、世界中の人達と繋がれる宿、グラミンカをオープンすることにしました。

夜のグラミンカ夜のグラミンカ

神河町はどんなところですか? 町の魅力を教えてください。

大野)「14年ぶりに新しいスキー場ができる」というニュースが神河町を知ったきっかけでした。実際に足を運ぶと、自然豊かな田舎なのですが、そこに吹く「新しい風」をしっかりと感じたのを覚えています。スキー場建設をはじめ、観光業に力を入れている町役場。町外からの移住者が多く、起業されている方も多いです。何より「新しいもの」を受け入れてくださる地元の方々がとても素敵。今では、お客様と近隣の方が、楽しそうにお話をされている場面もよく目にします。本当にうれしいです。

大西)一言で「人の優しさがあふれる町」とでもいいましょうか。あふれる大自然はもちろんのこと、きっと神河町に来てくれたすべての人が、グラミンカの近くに住む方々の優しさや、笑顔、きさくさに癒やされると思います。あっ、あと、星空は想像を超える美しさですよ。

なぜ自分たちの手で作ろうを思ったのですか?

大野)実は、初めからDIYで作り上げようと思っていた訳ではありませんでした。結論から申し上げますと、「資金不足」です。資金はない、でも理想とする空間をお客様に提供したい。その葛藤の活路がDIYでした。ただ、始めてみると本当に楽しかったですし、自分たちの「色」をグラミンカに重ねることができました。こだわった点は、素材感と古材の再利用ですね。「資金不足」が、逆に創造力を掻き立て、アイデアとデザインでグラマラスな空間に仕上げられたのではないかなと思っています。

大西)唯一無二の宿でありたいと思ったからですかね。グランピング×古民家というコンセプトはもちろん、建物の内装や、もてなし方、システム、全てにおいて二人の想いとスキルが全て詰め込まれたものがグラミンカだと思っているので、その一つ一つをDIYすることにこだわったのは、グラミンカを訪れた全ての人に感動と笑顔になって欲しい、そういう僕達のプライドだと思います。

GLAMINKA五右衛門風呂料理

くつろげる空間づくりのコツを教えてください。

大野)みなさんが普段思い描いているであろう「あこがれ」をそれぞれの空間にちりばめたことです。火のゆらめきを眺めながら、囲炉裏での夕食。五右衛門風呂で体を温めた後、満天の星空を見上げる。朝は、アイランドキッチンを囲みながらみんなでクッキングタイム。そして、高台からの景色を眺めながらモーニングコーヒー。最高ですよね。「宿泊者がしたいことを、先回りして空間をデザインする」これがコツです。

また、意識したのは、「余白」です。普段の生活では限られた空間でやりくりすることが多い分、ここでは「余白」の多い開放された空間を楽しめるようデザインしました。是非それぞれの空間でそれぞれの「くつろぎ」を体感していただきたいです。

デザインと宿泊施設の関係性についてどう考えますか?

大野)「空間デザイン」は、お客様の満足度につながる大きな要素だと考えています。それは、チェックインからチェックアウトまでの時間ずっと体感するものだからです。デザインは、物事を上質にします。景色をより上質に。料理をより上質に。会話をより上質に。思い出をより上質に。「あの空間の中で過ごしたい」「この空間にもっといたい」そう思ってもらえるような空間デザインを目指しました。

神河町のおいしい食材や名物料理があれば教えてください。

大西)非日常空間で楽しむグラミンカの囲炉裏メニューは、食材にこだわりをもっています。町内産の「手作りさしみこんにゃく」。目の前に流れる清流で育てられた「ニジマス」。青空市での新鮮なお野菜。ご飯は、神河町の里米を土鍋で炊いて提供しています。土鍋の蓋を開けた際に立ち込める炊き立てのご飯の香りには、いつもお客様の笑顔がこぼれます。時には、近所で頂いたお野菜で作った一品をサービスさせてもらうこともあります。食事を通して、神河町のことをもっと知ってもらえたらうれしいですね。

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